20話 神奈の秘密
道場のガラス戸が怒鳴り声でビリビリと震えた。
大声を出しているのは柔道部の主将である新田だ。
そんな新田の前で良美と神奈はパンツ1枚で直立姿勢を取っていた。
2人は異性である新田の前でありながらも女の膨らみである乳房を晒している。
窓もある開けた道場で肌を晒す。しかも決して隠してはいけない。
一般生徒なら真っ先に逃げ出すようなことを2人はやっているのにも関わらず新田はまるで満足していない。
このぐらいは出来て当たり前だと思ってたからだ。
そんな考えの新田が神奈の指導を初めようする。
だが、神奈の体を目の前にして眉を顰めた。
そう。相手は男心を擽るロリフェイス。背も低く一見すると小動物のように小柄で愛くるしい。そして……
「うっ」
あの堅物の新田でさえ神奈の大きなバストを前にすると目が泳ぐ。
全国レベルの実力者である金月を躊躇いもなく全裸にし、良美の股にある恥ずかしい部分をガン見しても動じなかった男ですら神奈のパンイチの姿は強烈だった。
もちろん彼はロリコンではない。だがしかし子供のような顔つきに不釣り合いな大きな乳房を持つ神奈はあまりに未知の存在だった。
「柔道を初めて数カ月だと聞いたが本当か」
「はいですぅ」
相変わらず神奈からは媚び媚びの舐めた返事が帰ってきたが、やはり新田は即座に反応できない。
これが良美相手なら速攻で往復ビンタをしているだろう。
「尻を出せ」
それでも新田は自分のやるべきことをやろうとした。
流石の神奈もこの命令にはニコニコとしていられず眉がピクリと上がる。
(あっ、この流れは)
真横で立っている良美の体がピクリと震える。
今、行われようとしていることに彼女は身に覚えがあった。
あれは下着の降ろし方がどうこうとイチャモンを付けられた時だ。
散々脱衣の練習をさせられた挙句に尻を開かれて肛門やあそこまで見られた。
しかもあれは尻の穴すら晒す覚悟すらない軟弱な部員たちを探すためのテストだったという。
もちろん、そんなことは知らなかった。
必死に肛門を隠そうと臀部に力を入れ続け、その結果尻を何度も何度も叩かれた。
あまりの恥ずかしさで肛門を閉じようと力を入れると叩かれる屈辱は生涯記憶から消えそうもない。
そのことを知ってか知らずか、神奈は体をもじもじさせながら、
「えーどうしてもやらないと駄目ですかー」
と、駄々をこねるような仕草をしつつ言った。
すると、ぷるぷると大きな乳房が揺れた
あまりにあざとい。この姿を見て守ってあげたいと思わない男子はいない。
「い、いいから早くその下着を降ろせ」
普段から見ると新田の態度は明らかに腰が引けているが、それでも彼はしっかりと脱衣を命じた。
流石に柔道部の看板を背負う主将と言える精神力だったが。
「ぶー。わかりました」
そんな抵抗は無意味とばかりに神奈はするっと最後の1枚であるパンツを降ろした。
むき出しになる薄い毛に守られた谷間。女の秘部と言えるものを晒したのに神奈は動揺した様子を見せない。
それどころかそのまま後ろを向き、腰を曲げ、お尻を差し出すようなポーズを取った。
「きゃっ」
神奈が生まれたままの双臀を高々と持ちあげると良美が悲鳴をあげた。
足も肩幅ぐらい開いており女の割れ目が丸見えになっていたからだ。
「お……」
これには新田もたじろぐ。神奈は陰毛が薄いせいか後ろから見ると毛は全く生えていない。
そこにあるのは小学生のような汚れのない肌色のふっくらとした割れ目。
僅かに開いた口からはピンク色まで覗ける。
とても高校生の『もの』に見えない。
新田は見てはいけないロリータものを見ている感覚に襲われて、思わず後ずさりをし距離を取った。
「もういい。わかったからそれを隠せ」
たまらず鬼の主将が折れた。
その声を聞き神奈は顔を床に付けるような態勢でありながら笑みを浮かべる。
つまりこの状況を一言で言うと今回も神奈の完勝だった。
過去には大輔を手玉に取り、副主将をもて遊び、そして今、新田主将すら退かせた。
これでもう神奈を止められる男子はいない。
誰もがそう思ったその時、突然道場に1人の男が入っていた。
「お前ら何やっているんだ」
やっていたのは東山監督。大輔の父親だった。
朝から監督が来るなんて思ってもいなかった良美は反射的に胸を隠した。
相手は子供の頃から親切にしてもらった幼馴染の父親。
もう既に裸を何度か見せているのは言え、未だに心の整理が付いていなかった
「おはようございます!!女子の掃除のチェックをやっていましたが……その、あの神奈が……」
無敵の柔道部主将の新田も教師である監督には敵わない。
困ったような顔をしながら今の状況を説明した。
東山監督はじろりとお尻を持ち上げている神奈を見た。
こんな姿の女子生徒を見たと言うのに動じていない。
それどころか甘さを責めるような口調で言う。
「なるほどな。だいたい事情はわかった。確かにこいつは男子の手には余るだろうな。いいように弄ばれたんだろ」
「決してそのようなことは」
新田は反論を言うが説得力はない。
「なら聞くがこいつにビンタをしたのはいつだ。最後にやった尻叩きは?」
「いえ…」
2人の話を聞いて良美はようやく気が付いた。自分が毎日やられているシゴキを神奈は上手く避けていたことを。
「そうだろうな。体罰は必要がある時だけやるものだ。女子最強の金月も必要だからこそ尻を叩かれている。だがな。こいつは違う。今こうしてあそこを晒している時すら隙を見せずに打開策を探っている。精神力という意味では金月よりも上だろう」
神奈の背中や尻を触りながら監督は妙に自信ありげに言った。
「お言葉ですが神奈は素人同然です。とても金月を超える部分があるとは」
昔から金月のことを高く買っている新田が反論する。
その評価は金月の生尻を叩くのが日課となった今も変わらない。
「お前は何もわかっていない。例えばこの太ももの筋肉を見てみろ。これが素人の体に見えるか」
「え?」
新田がおもわず驚きを声を上げる
全裸体で尻を持ち上げているため普段はわからない筋肉の盛り上がりがよくわかった。
小柄な体に似つかぬ大きな胸ばかりに気を取られていたが確かにスポーツ選手らしい足をしていた。
「こいつが素人で経験が足りていないのは本当だろう。でもな。柔道に掛ける熱意は本物だ」
黙り込む新田。彼は神奈のことを何もわかっていなかった。
そしてそれは神奈の友人である良美も同じだった。
なぜ金月先輩が神奈のことを高く評価していたのか。
今こうして言われるまでわからなかった。
そう。神奈は努力家なのだ。表では適当にやっているようで裏では努力している。
この体も毎日走り込んでいる証拠。金月はそれをきちんと見抜いていた。
(ごめん)
良美は友人に詫びた。心の何処かで自分のほうが上だと奢りがあったの気もしれない。
「もちろん、まだこいつはダイヤの原石でしかない。まだまだな未熟な部分が多いのも確かだ」
そう言うと東山監督はいきなり神奈の小ぶりの尻肉をつかみ左右に開いた。
茶褐色の窄まりとピンク色の媚肉の全体をむき出しにし、左手で神奈の陰唇を両側に広げて見せた。
「監督、何を」
新田が驚きのあまり声を出す。
中年男の太い右手の人差し指が膣の中へ入れられると神奈の体がビクリと震え、次の瞬間「ああっ」とあまり聞き慣れない色っぽい絶叫とともに神奈の体は床に崩れ落ちる。
体はピクリピクリと痙攣をしていた。
監督が何をしたのか見ていた2人にはわからない。
だが女の敏感な部分であるクリトリスを剥いたか指で弾いたかしたのは間違いなさそうだった。
「その程度のことでへこたれてどうする。立て」
監督が言うと神奈は顔を真っ赤にしながら立ち上がる。
秘めた性器に暴力を振るわれたのに何も言わない。いつものぶりっ子もない。
ただ黙って監督を睨みつけた。
「いい度胸だ。気に入ったぞ。今度みっちり鍛えてやるから覚悟しておけ。さてと……良美ちゃん」
監督が予兆もなく突然良美に声を掛けた。
「は、はい!!」
思いもしないタイミングだったが良美はすぐさま胸のガードを外して直立姿勢を取った。
監督は幼馴染の父親だ。もしかしたら便宜を図ってくれるのではという淡い期待は今の出来事で完全に吹き飛んだ
監督は鬼だ。胸を隠したまま話をさせてくれるなんてありえない。
「君の両親と私は学生時代同級生だったことは知っているね」
監督は良美のやや小ぶりな胸を見ながら優しい口調で言った。
「え?はい。父から聞いています。良きライバルだったと」
父親は当時のことをよく話してくれたが、母親はなぜか話したがらなかった。
理由はわからない。だから良美はあえて父と答えた。
「ライバルと言っても負けっぱなしだったけどな」
監督はやや遠い目をした。当時のことを思い出しているのかもしれない。
「あれから何年だったのか。あの2人の子供が今こうして私の前でおっぱいを晒して立っているんだから時の流れ、いや運命とは恐ろしい。そう思わないかね」
良美には答えられなかった。今つらい目にあっているのも何十年前から決められていたことなんて思いたくなかったからだ。
そもそも両親の学生時代と自分は無関係であり運命なんて考えたくもなかった。
「私についてきなさい。きっと全国に行けるように『仕上げて』あげるから」
「はい!!よろしくお願いします!!」
良美は反射的に同意する。幸いなことに大輔の父親は指導者としては優秀だった。
その言葉にも嘘は感じられないし付いていく価値はあるように思えた。
返事に満足した監督はとても小さな声で独り言を言う。
『真里佳の反応が楽しみだ。愛する娘が命じるまま裸になり尻を叩かれる姿を見たらどんな顔をするだろうか。いや、どうせなら全裸のまま街を走っているところを見せてやろう。男子の手で躾けられた娘の晴れ舞台をいきなり見せてやるのも面白い』
「監督?」
母の名が聞こえたような気がしたが、あまりに声が小さすぎてよく聞こえない。
「いや、何でもない。いい返事だと思ってな。君のことは金月からも聞いているよ。とても優秀な後輩だから大切にしてほしいと」
監督と金月の関係はよくわからないが常に意見交換はしているようだった。
「本当ですか!!金月先輩がそんなのことを」
良美にとっては金月は憧れの先輩。褒められたことは殆ど無いだけにその言葉は何よりも励みになった。
「どれ。今日は特別に私が指導してあげよう」
「はい。よろしくお願いします!!」
監督は年も取り既に現役ではないとは言え学生時代は全国まで行った強者。
その時の知識や経験は未だに通用する。良美は大喜びで返事をした
「では、お尻を出して」
嬉しさにあふれていた良美の表情が固まる。
このタイミングで尻を出させるということは、つまりそういうことなんだろう。
「技の指導でもしてもらえると思ったのかね? 俺が来ただけで胸を隠すような軟弱な心で技術なんて教えても仕方がないだろう」
やはり先程の甘えを見られていた。
良美は柔道部の伝統に対する理不尽さと自身の心の隙を悔やむかのように唇を噛み締めるが、今更後悔してもどうしようもない。
諦めて最後の1枚を脱ごうと下着に手を掛ける。
すると意外なところから助け舟がやってきた。
「監督。良美の失態の責任は全て指導してきた私にあります。今回は許してやってくれませんか」
新田が妙に力強い声で言った。
これには真横で全裸のまま立っている神奈も驚いた顔を見せる。
「なるほど。確かに主将であるお前の責任でもあるな。ならこの後始末をどう付ける」
「竹刀で尻叩き10発お願いします!」
新田はそう言うと学生ズボンとブリーフを下ろし壁で手を付けお尻を皆に晒した。
女子が2人。いや、下級生の前で醜態を晒すというのにその動作に躊躇いはない。
流石は主将と言える堂々たるものだった。
「良い心がけだ。おい良美。お前も早く尻を出せ。新田にめんじて竹刀1発で勘弁してやる」
「は、はい!!」
監督は先ほどとは違いすっかり指導者モードだ
良美は急いで新田の側に行くと彼のなかなか大きなブツが視界に入った。
見ては言けないもの見てしまい一瞬思考回路が止まる。
悲鳴を上げる?視線をそらす?
彼女の頭の中で様々な選択肢が浮かんだが結局何のリアクションも起こさないように努めた。
ここで普通の女の子のように騒ぐのは簡単だった。見ていないふりも出来る。
だが、それをやって庇ってくれた新田の期待に答えるとは思えない。
無言のまま良美はパンツを下ろして壁に手を付けると新田がボソリと言った
「すまんな」
何に対してスマンなのか良美にはわからない。
この事態を起こしたのは全て胸を隠した自分のせいだからだ。
「1発!2発!3発!!」
掛け声とともに新田への仕置が行われ、肉と竹刀が当たる音が響く。
それでも新田は微動だにしていない。
脂汗こそ額から流れ落ちるが、まるで地面に足が根を張っているかのように体位が崩れない。
(凄い……)
良美は驚きのあまり目を大きく開く。
竹刀の威力は強烈だ。あの金月すら初めて生尻に竹刀を受けた時に悲鳴をあげみっともなく床に崩れ落ちた。
あのトラウマとも言える竹刀の洗礼を耐える人間がいるなんて考えられない。
目の前で見せられているのも関わらず良美には信じられなかった
「次。歯を食いしばれ」
新田への制裁が終わると竹刀が良美の尻へと向けられる。
やはり昨日のお尻叩きのダメージは消えていない。まだ赤みが残る尻を見せながら良美が大声で言った。
「お願いします!!!」
柔道部の伝統の理不尽さ。女として尻を見せる恥ずかしさ。
全ての感情を投げ捨てもこの1発だけは耐えてみせる。
良美は新田主将に負けてたまるかと意気込むが。
「きゃぁぁぁぁ」
1発受けただけで良美の体は崩れ落ち、ピクリピクリと痙攣する
いくら意地を張っても体と心は数日前に受けた竹刀の味を忘れていない。
あっさりと意識が飛んでいった。
「まったくしょうがないな」
監督はうつ伏せになり無防備になった良美のお尻の谷間に竹刀の先端を置いた。
そして竹刀の先端はゆっくりと尻の割れ目に沈んでいく。
「監督、それはちょっと」
尻叩きの体位を崩さぬまま新田が言った。
監督が何をやろうとしているのか知っておりそれを止めるようなニュアンスが含まれていた。
「やはりこれをまだやっていないんだな。新田よく覚えておけ。男女も弱点は変わらない。女子だから胸をなぞるだけで充分なんて思うな。精神の鍛錬は人が最も嫌がる場所を攻めてこそだ」
その言葉の通り竹刀は更に尻の奥へと進む。
このまま好き勝手にやらせていいのか。そんな不穏な雰囲気が漂うと突然竹刀は引き抜かれた。
「後は任せたぞ。今度来るまで全裸グラウンド10周ぐらい出来るようにしておけ」
そう言うとようやく監督は去っていった。
騒がしい監督がいなくなり静まる帰る道場
後に残るは尻に目新しい赤い一方の1本の竹刀の跡を見せながら床に潰れている全裸の良美。
直立姿勢を取り続ける同じく全裸の神奈。
そして壁に手を付け無残な竹刀の痕だらけの尻を出している新田。
ここに残った誰もが思うであろう。
『監督が来たせいで朝から酷い目にあった』と。