ヌードモデルに選ばれた姉

38話


 佳子はやっとのお思いで自宅へと帰ってきた。
 玄関で靴を脱ぎながら「ふー」と大きなため息を付く。
 先程の公民館での出来事が頭から離れられなかった。
 なぜ白鳥の言葉を信じてしまったのか。裏があるのは薄々気がついていたのに何の策を講じることもなく公民館に行きアソコを晒す羽目になってしまった。
 あまりに愚か。無策。彼女の心は重苦しい雰囲気に包まれていた。

 今1度深いため息を付いた佳子は脱いだ靴の向きを直すため膝を付き手を伸ばす。
「え?」
 その時、太ももから1筋の液が流れ落ちた。
 反射的に手をズボンの中に入れる。下着は履いていないので指先はダイレクトに佳子の女と言える部分に触れた。
 くちゅ
 厭らしい女の汁気を感じた。
 割れ目からとろりとした愛液がこぼれ出していた。
 子どもたちの視線。近所のおじさんの視線。
 全てが嫌悪であるはずなのに体は反応している。
(これが白鳥の狙いなのね……)
 ヌードモデルが決まった時に白鳥は言った。いつでも体を開けるようにしてあげると。
 それがこういうことなのか。ノーパンノーブラ登校、毎日行われる下着検査。
 どれもが女の体と心の急所を巧みに突いてきた。

 彼女は怒りを感じながらも無意識のうちに手が奥へと進む。
 人差し指の先端が割れ目の中に入った。
 中は熱気に包まれていた。
(い、いけない。玄関でこんなことをしては駄目)
 頭の中で警告する。これでは白鳥の思惑通りになる。
 指を入れるなんて普段でもやらないことをこんなところでやるなんて。我慢しなくては。
 そんな葛藤をしていると、ふいに声がした。

「あれ。姉さん帰ってきたんだ」
「ええ、ただいま」
 廊下の奥から弟が出てきた
 佳子は咄嗟に手を戻し何事もなかったのように立ち上がった
 顔も赤く太ももに流れる液体も止まっていない。ヤバい状態は続いていた。
「その……公民館どうだった?」
 弟の言葉に姉はピンときた。
 なるほど。我が弟は今日の出来事に興味があるようだ。
 実の姉がどんな感じで裸にされたのか聞きたくてウズウズしているようだった。
「大したことなかったわ。平気よ」
 そんな弟の邪な期待に答える義務はないとばかりに冷たくあしらった
「……ならいいけど」
 満足する答えを得られなかった弟は期待外れな顔をしつつ自分の部屋に戻っていく。

(ふーー)
 危ないところだった。先程の公民館での出来事は思っているよりも遥かに堪えている。
 自分の部屋に戻った佳子は素早く服を脱ぎ全裸になった。
 鏡を見ると顔は赤く乳首は立っている。割れ目はびっしょり濡れピクピクと疼きを感じた。
 ヌードモデルをやる前はもちろんこんなことはなかった。
 完全に体と心のバランスが狂わされていた
 白鳥は本気で1人の女子生徒をいつでも体を開く女に仕立てようとしている。
 どうやってこんなことを思いついたのか。まるで自身で体験してきたような計算されつくされた攻撃。
 ヌードモデル義務の闇。いや、白鳥の発想力に恐怖を感じずにいられなかった。

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 翌日。学校。
 朝の爽やかな光を浴びながら佳子は自らの手でスカートを持ち上げようとしていた。
 今日の下着検査は白鳥部長。場所は体育館の裏庭。目の前には道路を走っており学校の敷地内とはいえ完全に外だった。
「どうしたの。早く捲りあげなさい」
 白鳥の圧力に耐えかねた佳子は目を瞑りながら一気にスカートの裾を胸の近くまで持ち上げた。
「ふふっ。それでいいわ。佳子のあそこは公民館でも好評だったそうね。ようやくモデルの仕事にも慣れてきたんじゃないの」
 白鳥は佳子の丸出しの割れ目を眺めながら楽しそうに話すが、もちろんやられているほうは楽しくない。
 佳子は不愉快そうに眉間にシワを寄せる。いくら褒められても公民館の体験はトラウマになりかけていた。
 近所の顔見知りにあそこを見られて、淫らな快楽に身が流されそうになったことは悔やんでも悔みきれない。
 もちろん、あんなものは女性の生理反応でしかないと頭ではわかっている。
 実際に裸を見られたいという気持ちはまったくない。こうしてスカートを巡ってもあるのは嫌悪感しかない。
 だからこそ彼女は自分を許せなかった。
 
 そんな学校らしかぬ卑猥な雰囲気を打ち砕くかのように遠くから車が走る音が聴こえた。
 佳子は「あっ」の戸惑いの声を出す。
 目の前の道は本道から外れており、まず車は通らない。
 だが、まったく利用者がいないわけでもない。殆ど使われていない第二駐車場に繋がる道でもあるからだ。
 もし、このタイミングで車が通ればどうなるか。
 運転席からでも佳子の股間の有様は十分に捉えられるだろう。

「白鳥、車が……」
 恐怖心が体を廻り、寒くもないのに鳥肌が立つ。
 思わず白鳥に助けを求めるが。
「車? ああ、なるほどね。ならもう少しこのままのポーズでいましょうか」
 帰ってきた言葉は案の定だった。
 車が来るのを待つ白鳥。来るなと願う佳子。
 2人の思惑をまるで知らない車が近づく。
「来たわよ。覚悟は良いわね」
 白鳥がそう言うと車はウインカーを出し手前の道を曲がる。
 結局、目の前の道に来ることはなく車の気配は消えた。

「あら残念。せっかく忘れられない経験させてあげようと思ったのにね。まぁいいわ。それより佳子。今度は公民館にヌードモデルを派遣することになったんだけど先方がどうしても佳子を希望しているから来週また公民館に行ってね」
「嫌よ!!」
 ホッとするのも束の間、白鳥が出した提案に佳子は即座に拒否をした。
 悪夢とも言える公民館の出来事を再びやれなんて冗談じゃないと思った。
 ましてやヌードなんて。
「ごめんねー 私も佳子にはまだ早いと思ったんだけど既に学校が受けてしまっているし、もうどうしようもないのー」
 白鳥は小馬鹿にしたような態度を取りながら言った。
「だから嫌だって……」
 先程より声が小さい。佳子は学校がモデルの依頼を受けている現実を見せられて少なからずショックを覚えた。
 学校はなぜそこまでするのか。事情も目的もわからないが、彼女が反撃する上で大きな障害になるのは間違いなかった。

「下はもう良いわ。次は胸を出して」
 まるであなたには拒否権はないことを教えるかのように白鳥は脱衣を命じた。
 やられっぱなしで反撃の糸口も見つけられない。
 佳子はまるで自分への罰とばかりにシャツを上を持ち上げて淡い乳房を外に出した

「よろしい。あ、そうそう。あの公民館でヌードの仕事をやる場合は玄関で裸になるのよ。それがマナーってものだから忘れないように」
 実際に2年生が玄関で裸になったという。
 何がマナーなのか意味不明だったが、住民たちの評判が良かったのは事実だった。

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