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午後11時。自宅
誰もが寝る準備を始める頃、大輔は飲み物を取りに1階に降りるとリビングから明りが漏れていた。
こんな時間に電気が付いていることを不思議に思い、中を覗くと父が資料の整理をしている。
大輔は妙だと思った。
父はこういう仕事をいつも自分の部屋でしかやらないからだ。
「ん? 大輔か。そんなところで突っ立っていないでこっち来なさい」
追い出させるかと思ったら何故か呼ばれた。どうやら邪魔ではないようだ。
柔道部について色々と聞きたいと思った大輔は大量の資料を机いっぱいに広げる父の側へ行った。
「結局、女子は何人ぐらい入ることになったの?」
大輔はチラチラと積まれたものに目をやる。
昭和◯年女子柔道部と書かれたノートが見えた。
前に運ばされた女子柔道部のダンボールの中身のようだ。
「ああ、昼休み中に意志を確認したら結局6人の女子が入ることになった」
「確認って新田主将がやったというあれ?」
「ああ、よく知っていたな。でも予想以上に人数が減って少し頭が痛くなったわ。まさか最初の試練すら超えられないとは」
やはり6人かと大輔は思った
先程見たブラの枚数とも一致するからだ。
「全裸練習をやらないと言えばもっと人数は増えただろうけど、こればかりは伝統だから辞めるわけには行かない。そもそも脱衣もまともに出来ないやつが柔道部の練習に付いていけるはずもないしな」
「まぁ俺の時ですら裸でグラウンドを走れと言われただけで半分以上が辞めたし女子ならそりゃね」
大輔が話していると机の上に積んであった写真の山が突然床に落ちた。
父が手を伸ばした際に崩れたようだ。
「まぁ最初から男女同じでやるわけにもいかんか……っとそれ取ってくれ」
床に10枚ぐらいの写真がばらまかれた。
大輔が1枚ずつ拾っていくと、肌色に覆われた写真が目に入り思わず手が止まる
「え?。これって」
写真を持つ大輔の手が震えた
それは5人の女子部員が直立姿勢をしている姿を後ろから写した写真だった。
構図そのものはなんてことはない。5人の女子の後ろ姿の背中から足元を捉えるようにロングで取った写真。
後頭部は写っていないから誰が誰だがさっぱりわからないので、まったく意味のない写真でしかない。
そう。この女子たちが一切の衣服を付けていない尻丸出しの写真であることを除けば。
「ん? あーそれか。女子柔道部による全裸自己紹介の時の写真みたいだな。ほら大輔、お前もやっただろ」
「確かにやったけど、女子部もこんなことやるんだな……」
全裸自己紹介は体育会系の部ではよく聞く話だった。
度胸付けと仲間になる儀式と言われるが、新入生にとっては試練でしか無い。
誰もが恥ずかしく、辛い思いをする。
この女子たちだって、こんなところで裸にされ、写真まで撮られることを望んでいるはずがない。
見れば見るほど女子たちの悲痛な叫びが伝わっているような写真だった。
「こらこら、そんなマジマジと見たらアイツの娘が可愛そうだろ。それは今年のなんだからさ」
「え?」
父の言葉を聞いた瞬間、大輔は電気が走ったような衝撃を受けた。
先程から見ていた5つの綺麗なお尻が、まるで別物のように見えた。
もし、父の言うことが本当なら、この中に良美のお尻もあるってことだからだ。
「ちょっとトイレ行くけど他のものには触るなよ」
突然、父が出ていく。
今のうちとばかりと大輔はスマホで先程の写真を撮る。
他にも裸体を写したものがないかと写真の山を探すが見つからない。
尻の写真があるなら、必ず正面を写したものもあるはずと思い必死に探した。
「ん?これか」
一番下に持ち出し禁止と書かれた大きなダンボール箱があった
小さな字で入部初日の写真と書かれている。どうやら全裸自己紹介の資料はそこに纏めてあるようだ。
大輔は目的のものを取るため束を1つ持ち上げる。
この中には良美だけではなく綺麗な先輩や女性教師の若い頃の全裸も収められていると思うと心が震えた。
焦りながら箱を開けようとしたとその時、
無情にも父が帰ってきた。
「なんだ。まだいたのか。早く寝ろよ」
大輔は慌てて持ち上げていた箱を置いた。
明らかに資料の配置が変わっており、あさった跡があると言うのに父はなにも言わない。
それどころか何か楽しいことがあったのか機嫌が良くなっている。
「お、おやすみなさい」
大輔は逃げるように自分の部屋に戻った。
そして先程撮った画像を急いでチェックをする。
画質は落ちていたがそれでもお尻の小さなホクロがわかるぐらいの解像度はキープしていた。
(良美はどれなんだろう)
お尻の形なんて大差ないと思っていたが、実際に並べられると千差万別だった。
小さいもの。大きいもの。少し肉が垂れているもの。逆に引き締まっているもの。肌の色が綺麗なもの。
5人もいると当てるのは不可能のように思えた。
(でもおそらくこれだな)
そんな状態なのに大輔は右から二番目のお尻の大きな女子が良美だと確信した。
後頭部も写っていない写真なのに、これだと思った根拠は背中から腕周りの見事な筋肉質だった。
アイドルのヌード写真集ではまず見られない鍛えられた体つき。
お尻から太ももに掛けての筋肉も締まっている。
この身体を作るのにどれだけの丹念が必要なのか。それは毎日のように走っている大輔もよく分かっていた。
数分後
あまり罪悪感を感じること無く、見たかったもので軽く一発抜いた大輔がふと思う。
父はこの写真をわざと自分に見せて保存させたのではないかと。
今になって考えると、色々と不自然だった。
偶然リビングで女子柔道部の資料を片付けて、
偶然後ろから写した裸体写真が入った束を落とし、
偶然その写真は今年の全裸自己紹介のもので良美のお尻が写っていた。
その後も妙だ。わざわざトイレに行って保存させるチャンスまで作ってくれた。
なぜそんなことをするのか。考えられる可能性は1つ。
父はライバルの娘である良美に良い感情を持っていない。
だから裸を晒して辱めを与えるような行為を取ったと。
(……いや、結論を急ぎ過ぎか)
大輔は良美のお尻の画像をじっと見る。
何度見ても飽きないボリュームのある大きなお尻だった。
こんもりと、はち切れんばかりに膨れた真っ白な2つの山は同じ年齢の生徒のものとはとても思えない。
良美の尻を見ながら父の行動について色々考えたが結局は憶測でしかなかった。
だが、私怨であれ他の意図であれこんな写真をくれたのは理由がある。
それだけは確かだった。