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練習が始まった。部員は揃っているが監督の姿はない。
今日は新田主将が仕切るようだ。
「練習は対戦形式で行う。金月は俺と。もう1人は大輔が相手をしろ。後は……」
新田が指示を出すと部員たちはそれぞれ決められた相手の元へ向かう。
「えっと……大丈夫か」
大輔は少し離れたところで立っていた良美に恐る恐る話しかけた。
うつむいており表情は見えない。否応なしに先ほどの姿が頭をよぎる。
いくら気が強くても男子部員全てにオッパイを見られて、しかも往復ビンタまで喰らいまくったのだ。
そのショックは計り知れないはず。
「ふぅ。もう平気よ。じゃ大輔、よろしくね」
少し腫れた頬を見せつつも良美は笑顔で握手を求める。
上手く気持ちを切り替えたのか普段と殆ど変わらなかった。
ただどこか照れ臭そうな感じがした。
「ああ」
大輔も返すがこちらも反応がぎこちない。
彼女の乳房の形を知ってしまった男の嵯峨なのか。良美から女を感じ、頬が赤くなった。
「お願いします」
「お願いします」
大輔はグチグチと考えても仕方がないと思った。
今は好きな柔道でモヤモヤを消し去るのみ。
始まると同時に速攻で良美との間を詰め、素早く襟を掴んだ。
ここまでは大輔の予定通り。なぜか良美の動きが鈍く、まだ反応しきれていない。
今だと思い、手に力を入れるが……
チラリ。
何か見えてはいけないものが見えた気がした。
大輔が改めて手元を見直すと、目の前に高1の女子にしては控え目のなだらかな膨らみがあった。
柔道着は乱れ、右側の乳房が完全に露出し、ピンク色の乳首もはっきりと見える。
間近で見る乳首はあまりに儚い小さな蕾のように思えた。
そう。まるで甘い匂いを発しているかのような。
「え?」
「あっ」
2人の声がハモる。乳首をマジマジと見ていた大輔は咄嗟に手を離し距離を取る。
そうだった。監督の命令により、女子はパンツ以外の下着の着用を禁止されている。
つまり道着の下は素肌。
良美は顔を真っ赤にし乱れた柔道着を直す。そして恨みを込めた目で言う。
「あー今ガン見したでしょう。いやらしいわね。信じられない!!」
「馬鹿を言うなよ。誰がお前の胸なんて見るかよ。そもそも胸ならさっき見せてもらったしもう見たくもねぇよ」
大輔は必死に興味ないといい切ったが、もちろん嘘だった。
確かに出迎えの時に胸は見た。
だが今は大輔自身の手で柔道着を脱がして、乳房を晒したようなもの
その気になれば直接揉むことすら出来るのだから同じなはずはなかった。
「大輔、あなたね……あっ」
良美の視線が突然逸れた。
何だと思い、大輔も視線の先を見る。
するとそこには金月と新田が真剣な眼差しで練習をしていた。
金月が倒れて道着から剥き出しの肩が覗く。しかし新田は動じない。すかさず横四方固に入る。
立派な乳房がこぼれ落ちるが、金月もそれどころではない。必死に体を入れ替えようと蜿く。
左の乳房は既に丸出しで下も尻が半分見えるが、両者とも目には入っていないようだ。
新田が力任せに立ち上がり投げを出すと、金月の身体は軽々と持ち上がり、畳へ叩きつけられた。
いくら金月が県を代表する女子柔道選手でも、鍛えられた新田クラスの男子の差は埋められない。当たり前の結果だったが、それでも彼女は諦めない。
すばやく道着の乱れを直す。
「ふふ、相変わらず馬鹿みたいな力ですね。でも新田主将の柔道は嫌いじゃありませんよ。真っ直ぐで男らしい」
「金月も腕を上げたな。練習相手もろくにいない状態でよくここまで鍛えられるもんだ」
新田も見た目ほど余裕があるわけではなく、金月の得意技である絞め技に細心の注意を払っていた。女の力でも決まれば簡単に絞め落とされるからだ。
「もう1本お願いします」
「さあ来い」
再び対峙する2人。まさに圧巻される攻防だった。
どんな邪推も入り込めない。そう。2人だけの世界。
練習を眺めていた良美が言う。
「あれが尊敬する金月先輩。私がなりたい自分よ」
「ああ、凄いな」
大輔も金月の迫力には圧倒された。だが良美とは違う人物、新田主将にも感心していた。
女子の肌があんなに露出しても主将は平常心で攻めていた。
自分のように照れるわけでもなければ、宮井のように下心丸出しにもならない。
同じ男として、この精神力は驚異的だった。
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しばらくするとチャイムが鳴り、部活動が終わりを告げた。
「今日はここまで!!2年3年は解散。1年は全裸グラウンド10周。女子の2人はここに残れ。俺が自ら生尻を叩いて気合を入れてやる!!」
新田の言葉に金月と良美は躊躇いの間を見せつつも「ハイ!」と答えた。
気合い入れの尻叩きは女子部でもやっていたからだ。
嫌でも拒否する理由は見つからない。
全裸になった大輔は良美を気にしながら出口へと向かう。
新田主将の柔道の思いは本物だ。女子相手でも柔道部の伝統を超えるようなことはやらないだろう。
だが、逆に言うと女子も男子と同じことをやらせると言う意味でもあった。
「脱衣!!」
道場にはまだ何人も男子が残っていると言うのに、新田はなんの躊躇いもなく女子二人に向かって脱衣を命じた。
女子部にとっても脱衣の命令は全裸を意味することは昨日でわかっていたのにだ。
つい数分前まで力を認めた女子に対して、堂々と裸になれといい切る度胸は大したものだと大輔は思った。
普通ならとても真似は出来ない。
良美がモジモジと身体を震わす。あからさまに恥ずかしそうだ。
いくら乳房を全部員に見せたとは言え、今すぐ全裸になれと言われて動けるはずがない。
そんな良美を救うように、突然女子の甲高い声がした。
「はい!」
金月はまるで自分にも気合を入れるかのような大声を出す。
素早く腰紐を解ぎ、道着を脱ぐ。むき出しになる肩。抜けるような肌色の背中が晒される。
それでも動きは止まらない。続けてズボンを下ろす。
すると先ほど出迎えの時に見た下着とは違う白いパンツが現れる。
どうやら金月は普段用と部活用、2枚のパンツを持ち歩いているようだ
「あ、はい!」
焦ったように良美も道着を脱ぎ始める。
辛いのは金月先輩も同じ。その思いを胸に彼女も男の前で肌を晒す。
「なぁ、あれ」
「そうだな」
帰ろうとしていた3年2年の足が止まり、次々と新田のそばに集まる。どうやら金月の裸を見るためのようだ。
大輔も自分が全裸であることも忘れて、出口付近で立ち尽くしていた。
あっという間に出迎えの時と同じパンツ1枚の姿になった女子2人。
だが、今回は脱衣の命令。それだけでは終わらない。
2人はお互いの顔をちらりと見る。
躊躇い。屈辱。羞恥。様々な思いが交差しつつも2人はほぼ同時にパンツに手を掛け、ゆっくりと下ろす。
すると、みるみるうちに真っ白なお尻が露出していった。
大輔がいる位置からも既に尻の大半が見えている。
つまり真正面に立つ新田たちから見れば、既に2人の陰毛が見えているのは間違いなった。
これが男子ならいつもの光景でしかない。このあとの尻叩きも見慣れたシーンだ
だが男子生徒の前で女子生徒2人が裸になる光景はやはりインモラルな雰囲気が立ち込め、健全なスポーツ部とはとても見えなかった。
「なんだ。お前たち1年も見たいのか」
出口付近で立ち尽くす複数の1年の存在に気が付いた新田が喋る。
既に女子はパンツも穿いていない。大輔の視界にもはっきりと二人のお尻が見える。
「いえ、そんな」
と、言いつつも大輔は晒された2つのお尻から目が離さなかった。
金月の尻は乳房ほどのボリュームはないが、肉感的で引き締まっており真っ白で肌には染み一つなかった
逆に良美の尻は少し子供っぽい。写真でみた時とは違い、ところどころ黒ずんでいた。
「遠慮するな。見たいなら見てもいいのだぞ」
そう言いながら新田は金月の後ろに移動する。
次の瞬間、新田の大きな手のひらは金月の右尻に向けて放たれた。
ぱちーーん。
「ひゃぁん」
普段なら絶対に聞けないような可愛い声が金月の口から漏れた。
今叩かれるのはまったく予想していなかったのか、完全にふいを付かれたような声だった。
「床に叩きつけても平然とした顔をしていたのにビンタを生尻に食らっただけでこの反応。これだから女子ってやつは」
金月のお尻には新田の手形がくっきりと刻み込まれていた。
それは穢れ無き裸体に刻まれた焼き印のように思えた。
金月が身体を動かさず、首だけ回して背後にした新田を睨む。
顔がひきつっており、明らかに今の生尻叩きが利いているようだ。
それでも気品は失っていない。
先ほどとは打って変わってキリっとした声を出す。
「……あまり馬鹿にしないでくれるかしら」
「あん?」
「確かに私たちは男ではありません。でも女子柔道部の女子は男子より劣るとも思っていません」
その言葉に嘘はなかった。
だからこそは彼女らはこの場で全裸を晒している。男子に出来ることは女子にも出来ることを証明するために。
「それは俺も認めてやる。そもそも見込みがなければ女子部の統合なんて絶対に許さないからな。今お前たちがここにいるということはそういうことだ」
新田は続けて真横にいた良美の尻を叩く。
ぱちーーんと生尻を直接叩いたときのみ鳴る独特な叩き音がした
「んっっ」
生まれて初めて男に生尻を叩かれたというのに良美は声を上げなかった
さきほど金月先輩がやられたので、次は自分の番だと覚悟していたようだ。
「昨日監督も言ってたが、お前たち女子に足りないのはこれだけだ。今も恥ずかしさで震えているだろ。そんな甘い心を俺が徹底的に鍛え直してやる。2人とも尻叩きのポーズを取れ」
新田がそういうと良美が振り向く。
そして目的の人物を探し出し目を合わす。
(あ、)
良美と目線を合わせた大輔はどくんと心臓が高鳴るのを感じた。
全裸体を強制されている彼女の顔は普段とは違い、眉が吊りあがり、顔色は青ざめている
そして何かを訴えようともしていた。
でも、良美は何も喋らない。何も語ること無く、視線を外し体位を元に戻す。
覚悟を決めたのかゆっくりと足を肩幅まで広げる動作を取る。
太腿は羞恥に耐えるように小刻みに震えているが、それでも確実に足が広がっていく。
「おー。エロいな」
周りにいた2年の感謝した声。
見れば金月も同じ事をしている。
女が全裸のまま複数の男子の前で足を開く。これだけでもどれだけの度胸がいるだろう。
しかもそれだけでは終わらない。お尻叩きのポーズはこの上に腰を曲げなくてはならないのだ。
「ほら、早く行こうぜ」
良美が何を言おうとしたのかはわからない。
だが見て欲しいと言ったとも思えないので、大輔は他の1年とともに外に出ることにした。
「えーもうちょっと見ていこうぜ。こんな機会がまたあるとも限らないし」
当然のように不満を言う1年。
後少しで、あの金月先輩の大事なところが見られるのだから当然の反応だった。
「いや、これ以上遅くなるとまずいだろう。ほら、他の部の下校時間もそろそろだし」
「あ、そうだった。やべえな。もうこんな時間じゃないか」
1年は焦ったように外へ飛び出した。
全裸走りの練習はだいたい時間が決まっていた。
だから合う学生も大抵はいつも同じスポーツ部のメンツ。
でも時間がずれるとそうもいかない。校舎内で部活動をしている学生も帰宅する。
それはそれだけ余計な恥をかくことに他ならなかった。
大輔は外に出て、扉を閉めた。
それと同時にパンパンパンと連続的な音が聞こえ始めた。
女子の声は聞こえないので、どちらが叩かれているのかはわからない。
『意外と毛深いな。ほらこんなところまで……』
『ほら、叩かれるたびに足が広がっててるぞ。そんなにここを見せたいのか』
扉の向こうから先輩たちの声が聞こえる。
否応なしに彼の脳裏には顔を真っ赤にし、唇を噛みしめながら生尻を叩かれる2人の姿が浮かぶ。
「そろそろ行くか」
ここにいても何も出来ない。そう思った大輔がグラウンドに向かうため歩き出した。
すると前方から突然知らない女子の声がした。
「きゃっ。なんで裸。どうしたの? イジメ?」
少し離れた通路にいる1人の女子生徒が驚いた顔で全裸の大輔を見ている
やはり今の時間は全裸練習を見慣れていない帰宅生徒が多いようだ。
「すみません。柔道部のものです」
スポーツ部の全裸練習の噂は聞いていたのであろう。
大輔が体を隠さず堂々と説明すると顔を赤めた1年女子は納得して去っていった。
(良美もいずれはこんなことが出来るようになる……うん。やはりないな)
新田主将はそのつもりのようだが、長い付き合いである大輔は知っていた。
言動と柄の悪さとは裏腹に良美本人は精細で傷つきやすいただの女子であることを。
おそらく良美は持たない。下手すれば本日最後のシゴキである全裸尻叩きにも耐えられない。
そんな気すらした。