柔道部の伝統 12


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 「おい、そろそろ戻ってこい」 

 規則的な打撃音を聞きながら大輔は神奈を呼び戻そうと大声を出した。
 2年に媚びを売っていた神奈は一瞬振り向くが、無視を決めているのか動こうとしない。

「ほら。呼んているぞ」
 先程までデレデレとした顔で話していた2年が一転して真面目な口調で言う。
 いくら神奈が保身のために2年を味方にしようと言っても限度があった。
 2年にとっては気晴らしの僅かな時間でしかなく、そう長く続くはずもなかったからだ。

「はーい。わかりました。先輩、またお話してくださいね」

 最後まで媚び媚びの神奈がちょこちょこと可愛い歩き方をしながら戻ってくる。
 しかしその表情は近づくにつれ険しくなっていく。

「ん?」
 何を睨んでいるのかと思えば、彼女の視線の先では四つん這いのポーズを取りながら全裸尻叩きの気合い入れを受けている良美がいた。
 良美は顔こそ真っ赤にしているが体位はピクリとも動かない。

 パチーンと形の良い生尻に新田の手のひらがヒットするが聞こえるのは打撃音のみ。
 悲鳴も泣き声もない。
 当たったのがわかるのは衝撃音と下に垂れ下がった乳房へ伝わる振動のみ。

「15発目、ありがとうございます!!」
 心にもない決められた言葉。
 女としてもっとも隠したい部分を見られている恥ずかしさも尻の痛みも良美は耐えている。

 初日にパンツ丸出しで叩かれて半泣きになっていた女子とは思えない。
 もちろん、苦虫を噛み潰すような表情を見るまでもなく、内心は今でも不満と屈辱が渦巻いているのは間違いない。
 本当なら脱がされる理由も叩かれる理由も何もないからだ。

 しかし、そんな理不尽な全裸晒し罰を受けている良美の姿は堂々たるものだった。
 口にこそ出さないが男子部員の誰も思う。あいつはただの生意気な一年女子ではないと。


「くっだらない。男子は本当にあれが必要だと思っているの? 男子柔道部って頭がおかしいんじゃない」

 ようやく戻って来たと思う暇もなく、神奈は挑発的なことを口にした。
 思わず返答の困る大輔。柔道部の伝統は心も体も強くする。
 それは間違いないが、女子を素っ裸にしてまで強さを求めるべきなのか。その疑問がないわけではなかった。

「思っているよ」

 だが、大輔のその疑問を奥底に仕舞い込んだ。
 その答えは真剣な眼差しで、良美に気合い入れをしている新田主将にあると思っていたからだ
 尊敬する主将は良美を男子と同じように扱っている。今だって女子の尻相手だと言うのに力は一切抜いていない。
 モロに見えるであろう女の割れ目の盛り上がりには一切目をくれずに叩きべき場所である尻タブのみ集中している。
 そこに男子だから、女子だからは関係ない。


 答えを聞いた神奈は軽く首を振り、その小動物な姿からは考えられないほどの罵倒を言い始めた。

「やっぱあんたは最低! 自分の意志もなくフラフラと付いていくだけ。そんなことだがらよっちゃんがあんな目にあっているのよ」

 先程までの男に帯びた姿はどこへ行ったのか。
 ムカっときた大輔が言い返す。

「いやいや、俺はきちんと入部を止めるように言ったわ。そもそも神奈だって反対したんだろ。自分の失敗を棚に上げて何を言ってる」
「私が悪いというの。男のくせに言い訳ばかり信じられない」
「なにをーー」

 2人でわーわーと言い争っていたら突然大輔の尻に衝撃が走った。

「いたっ」
「キャッ!!」

 先程まで怒り心頭だった神奈が尻に手をやって涙目になっている。
 いつ側まで来たのか。目の前には竹刀を持ったゴツい体の3年副主将がイライラしながら立っている
 2人の尻があの竹刀で叩かれたのは間違いなかった

「すみませんでした」

 お怒りはごもっともとばかりに大輔は深々と頭を下げた。
 副主将は新田主将よりも手が早い。練習もせず騒いでいたのだからどんな罰を受けるかわかったものじゃない。
 しかし副主将は大輔には目もくれずに、涙目でお尻を一生懸命擦っている神奈を睨む。

「そこの女子、脱衣!」 

 副主将の声に神奈は驚いた顔を一瞬見せるが、すぐにいつもの愛くるしい表情を見せる

「やだー先輩。こんなところで脱げなんてエッチ」

 神奈は副主将の胸元に飛び込み上目遣いをした。
 ブラ、シャツ禁止のため豊満な乳房の谷間は道着からもはっきりとわかる。
 そんな固まりを押し付ける神奈。男はこれに弱いのを知り尽くした動き。

 こんなのに迫られて冷静にいられる男子は普通はいない。
 だが、彼女の誤算はそこにあった。柔道部の3年は数多くの辱めの伝統を体験し性に関して鈍感になっていた。
 だからこそ女子を裸にすることも躊躇しない

「聞こえなかったのか。俺は脱衣と言ったんだ」
 
 副部長の迫力は凄い。 
 相手が本気で怒っていることを察した神奈がそっと男の胸から離れる。

「わかったからそんなに怒らないでよー」  

 神奈は道着を緩めて、いきなり大きく実った乳房をさらけだした。
 その動作はしぶじぶ脱いた感じはしない。
 まるで自分から見せたような感じすらした。

 上半裸になった神奈はふたたび上目遣いで可哀想を必死にアピールをした。
 右手は口元に。当て左手は腰に。
 今度は乳房を見せながらの男に迫る行為だったが、やはり副主将には通用しない。

 バシと床に振りかざされる竹刀。
 神奈は誰にもわからないぐらい小さく『ちっ』と舌打ちをしたような顔をする。
 しかしそれ以上の反論等は全くせず道着のズボンと白いパンツを脱ぐ。
 良美が散々苦労した見られながらの下着降ろしもあっさりとやってのけたことを副主将も驚きを隠しきれない。

 お椀のような乳房。脚の付け根にある薄い繊毛の有様。
 神奈はそのどちらも惜しげも無く晒し出していた。

「え?」
「なんだと?…」

 2人の男子が信じられないと言わんばかりの声を出す
 先ほどまでは明らかに優位に立っていた副主将だったが今は脂汗が顔を見える。
 それだけ神奈の度胸に度肝を抜かれた。
 大きな乳房をさらけ出しながら笑みすら浮かべている一年女子に不気味さすら覚えた。

 副主将は竹刀の先を神奈の体に向けた。
 そしてゆっくりと竹刀で豊かな乳房を持ち上げた。
 大きな乳房がぷるんと弾む
 ピンク色の乳首は竹刀で乳房を突くたびにその位置を微妙に変えていった。

「うう、恥ずかしいよー」
 神奈は相変わらず自分は可哀想アピールをした。 
 普通なら副主将の雷が落ちるはずだが何もしない。いや出来なかった。
 それだけ神奈の反応が男子の理解を超えていた


「あー、こいつやりづらいな。大輔、後は自分でやれ」

 ぶりっ子の雰囲気とは裏腹に脱衣の指示をきちんと守る神奈に根負けした副主将は竹刀を渡し、無責任にも去っていった。


(えっと)
 竹刀を持ったまま固まる大輔。こんな状態で渡されても困る。
 おそらく、副主将は裸体を隠そうとする神奈を竹刀でぶったたいて躾けるつもりだったのだろう。
 1年男子なら誰もが記憶にある。入部当初は裸を見せる恥ずかしさを克服できずに股間を本能的に隠そうとした。
 先輩たちはその瞬間を狙い、竹刀の味を尻を与える。
 裸を隠すと叩かれる。そのことを体に教えられるたびに羞恥心はどんどん麻痺していった。

 だが神奈は予想に反して最初から自分の裸を堂々とさらけ出した
 それも良美のように恥ずかしさを押し殺すのでもなく、金月のように感情をコントロールしているわけでもないのにだ。

 大輔の視線の双乳のふくらみがに向けられる
 目の前にある乳房を見ているだけで頭がクラクラした。
 神奈の胸は大きいだけではなく張りがあって瑞々しさが素晴らしいのだ。
 女性の裸は金月と良美しか見たことはないが、このメロンのように崩れない大きな形は他の2人には無いものだった。
 そんな形を支えるつんと上を向いた乳首。
 見れば見るほど男心を擽った。


 そんなことをしていると練習を黙々としていた他の部員が騒ぎ出す。
 3年はともかく1年2年はそこまで精神力が強くない。
 せっかく良美の全裸尻叩きを見ないようにして、なんとか練習に明け暮れていたのに、また一人女子が全裸になったのだ。
 落ち着けと言うのが無理だった

 そんな男子部員たちに手を振りながら神奈が大輔に向かって言う。

「あのさ。一ついい」
 四方八方から視線を向けられているにも関わらず神奈は全裸を隠さない。
 胸も股間もむき出しで迫られた大輔が一歩後ろに下がる。

「な、なに?」
「もう道着を着ていいよね。みんなに見られて恥ずかしいんだけど」
「……はい」
 
 結局大輔は神奈に対して何も出来なかった。
 先程のパンツ一枚の出迎えに続いてまたもや完敗だった。
 確かに予定通り全裸は見た。しかし本人は見られた負い目を感じることなく平然としている。
 彼女がたまに見せる恥ずかしがる動作すら演技に思えた。
 どこまで本当に羞恥心を感じているのか。まずはそれを見極めなければ何も始まらない。そんな気がした。

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