暗い気持ちに襲われながらジェーンは指定された部屋へと来た。
そう。本当なら今の彼女に他人の心配をする余裕なんて無かったのだ。
部屋の中に入ると大きな男が1人いた。
男の姿を見てジェーンは眉を上げる。相手の男が大きく肌黒だったからだ。
一目でこの国の人間ではないことがわかる。
雇われた外国人傭兵だ。
「おー色っぽいな。子供を二人も産んだ女とは思えんな。こりゃ当たりだ」
傭兵はドンとベットの上に座り、ジェーンに性行為許可書を渡した。
女の義務は法律で決められたものだ。
男にも法的手続きが多く発生する。
不備があれば行為許可そのものが効力を失うこともあった。
「え、私のこと知ってるの?」
家庭事情を知られていることを疑問に思いながらジェーンは渡された書類の不備を探す。
書類には男の国籍と名前。そして対象者のジェーンに対する性行為許可を示す役所の判子。
何度見ても抜けているところは見つからない。
女の意志が全く入っていないとは言え、手続きにはなにも落ち度は見つからなかった。
それはすなわち国が正式にジェーンを犯しても良いと男にお墨付きを与えたこと。
最後の望みの絶たれて彼女はガクリと肩を落とした。
「役所で誰にしようかと候補リストをペラペラ見ていたらお前の写真が目に止まってな。個人情報はその時に知っただけだ」
傭兵は流暢にこの国の言語を喋った。
どうやら昔からこの地にいた人物のようだ。
「候補リストから私を選んだ?」
国民はどんなシステムで女が選ばれるのかは詳しくは知らされていない。
ただ誰もが平等に選ばれる。説明はそれだけだった。
「そう。俺は面倒くさいのが嫌いだからな。義務経験者がいいとリクエストしたらお前が載っているリストが出てきたってわけさ」
「義務経験者に拘らなければもっと若い子を選ぶことも出来たんじゃない。例えば15歳の高校生とか」
ジェーンは娘が選ばれる可能が本当にあるのか探ろうとする。
むろん、わかってもなにも出来ないが、娘は大丈夫という根拠が欲しかった。
「15歳かは知らんが、未婚で女の義務未経験者リストを渡されたな。確かにこっちのリストはセーラー服を着た学生の写真が多かったわ。役所は一度も女を義務をやっていない住民をゼロにしたいらしく、こちらから選んでくれとしつこく言われたけど、俺は面倒くさいのが嫌いだからパスしたわ」
「女の義務の未経験者をゼロにする???」
ついジェーンは驚きの声を上げた。
そんなことになれば娘の体も。
まだ学生だから選ばれないなんて話はなかったのだ。
「何を騒いでいるのか知らんが、話はもういいだろ。そろそろ始めようや。ほら早くやれよ」
と言って傭兵はベッドに座り、黙り込む
女が最初にやるべき決まりごとを待っているようだった。
ジェーンが体を震わせる。
屈辱を感じながら自ら男のごつい唇にキスをした。
これはレイプなどではなく、男女の同意によるものであることを示す儀式
(うっ)
男は舌を絡めてきた。
彼女がコレまで経験したことがないねっとりとした口づけだ。
男の手が胸元にさし入れられる。大きな乳房が男の手の下でうねった。
まるで握りつぶすかのように力強い大きな手が乳房に食い込む。
「あっ。ひぃ」
痛みと快感のため自然と声が漏れた。
いくら心が拒否していても、それなりの性経験を持つ濡れた若妻の体は男の乱暴な行為を受け入れ敏感に反応した。
男が立ち上がり、服を脱ぎ始める。
それはお前も脱げという無言の圧力。
ジェーンは胸に残る痛みをこらえながらも上着を脱ぎ、スカートのファスナーを下ろす。
彼女にとって外国人はこれが初めてではない
義務二人目の男もビジネスマン風の外国人だった。
その外国人は怯えていたジェーンに対して優しく接した。
丁寧に一つ一つ体を愛撫し、ねっとりと肉体を味わっていった。
だが、いくら優しくても、彼女にとっては意にそぐわないセックスでしか無い。
あの時、与えられた性的快感は今でもジェーンの心を苦しめていた。
そして今回、また外国人だ。
2回連続で異なる人種の男に当たるのだから運が悪いと思わざる得なかった。
「なに勿体付けるんだよ。小娘じゃないんだから早く脱げよ」
「わかっているわ……」
意識を横にそらしながらジェーンは少し高級なブラを外す。
まだまだ若々しさを残す大きな乳房が露になった。
「ふむ。本当にこの国の女はスタイルがいいな。わざわざこんな僻地の国までやってくる外国人が多いのを頷けるぜ」
むき出しになった乳房をみた男が喜ぶ。
(外国人が多い?)
パンツを足から抜きとったジェーンはふとある仮説を思いつく。
それはこの国の未来の姿を暗示させる恐るべき予想だった。
「こっちむけよ」
今更拒否も出来ない。
ジェーンはゆっくりと体の向きを変え、本当なら見せる必要のない男に全裸姿を見せた。
「下の毛もきちんと手入れしているな。いい女だ」
男の視線を素肌に感じジェーンは頭にカッと血がのぼる。
そして思わず言っても仕方がないことを口に出した。
「こ、こんなのやっぱり間違っている。私たち今あったばかりなのよ。なんでこんなことやらなくてはいけないの」
全裸を晒しながら滑稽なことをいう女を見て傭兵は笑う。
「やる理由ね。そんなの簡単じゃないか。それはおまえがこの国の女だからさ」
既に男の体にも衣服はない。
ここにいるのは全裸の男女が二人
「うっ」
全裸で立つ傭兵の男のシンボルからジェーンは目が離せなかった。
でかい。彼女がこれまで経験したどの男よりも大きく長い。
ほんの少しの理不尽な興奮。そして大部分を占める恐怖が体中を駆け巡り、鳥肌が立った。
「ほーらよ」
傭兵は腕を掴み、ベットに放りなげた。
ジェーンは咄嗟に逃げ出そうとするが体はびくともしない。
それもそのはず。男のごつい手はあっという間に彼女の両足を掴み、カエルの解剖のように大きく開かせていた。
「やめて……」
男の視線を無防備なあそこに感じ、ジェーンは羞恥と恥辱で体を震わす。
こんなポーズは旦那にも最後まで許したことがなかった。
それを誰ともしれない外国人に許し、大事なところをマジマジと見られる。
いくら心の中ではこの不条理な女の義務を受け入れようと思っても納得できるはずがない。
「びじょびじょだな。そんなに男の体が恋しかったのか」
傭兵は指で愛液をなぞりジェーンの目の前に翳す。
その指先は、ねっとりした液で濡れていた。
「つぅ」
男の指摘にジェーンは顔を真っ赤にし、視線をそらす。
過去2回の望まぬ女の義務の経験は否応無しにジェーンの体を変えていた。
「俺はこの瞬間が大好きなんだよ。好きでもない男のものを飲み込んでいく、この瞬間がな」
傭兵は陰唇に自分のものを合わせる。
男の熱いものを直に感じ、ジェーンの喉がゴクリとなった。
ぐじゅという粘膜の擦り音を僅かにさせながら男の熱いものは内部へと潜りこむ。
「くっ。あっあっ」
本来は繋がる機会があるはずがない異国の男のものがズブズブと結合していく。
やはりデカすぎる。ジェーンは唇を噛み、引き裂かれるような痛みに耐えていた。
「あと少しだ」
こんな奥まで届くなんて人間のものとは思えない
だが、男のものは的確に女の終着点を捉えた。
「はぅ……あぅ!」
その瞬間、ジェーンは喘ぎ声をこぼした。
「どうだ。誰のはでかいだろ。この国の女はコレを喰らいこむとみんな涙して喜ぶんだぜ。こんな体験はしたことないからな。お前もそう思うだろ」
「はぁはぁ……き、気持ち悪いだけよ」
ジェーンは嫌悪を表情を隠すこと無く答えたが、男の言うとおり過去味わったことのない性的快感が下腹部から突き抜けたのは事実だった。
2人目の義務の男がテクニシャンならこの3人目の傭兵は力。
一突きで女の子宮をモノにする圧倒的な性の暴力。
「まったく、この期に及んでもこれかよ。いいか。お前たちこの国の女は難しく考え過ぎだ。セックスなんて楽しめばいいんだよ。あの法律のおかげでお前らは色々な男に抱かれるチャンスを得た。不倫だのふしだらだの言われることなく合法的にだ。これは女にとっても恵まれたことだと思うぞ」
傭兵は好き勝手なことをいいつつ、女の大きな乳房の感触を確かめるように揉みこむ。
「ば……ばかなこと言わな、あっやだ」
ジェーンは与えられた刺激に耐えるように苦悶の表情を浮かべた。
「どうだ。悪くないだろ」
相当自分のテクニックに自信があるのか傭兵は自信満々で乳房を強弱付けながら揉みほぐし乳首を口に咥えた。
「……あなたは、、最低の男よ……」
体を好き勝手にされているジェーンがやっとかっとで声を出す。
これだけデカく長い男のものをあそこに咥えこみながら耐えられる女なんかいない。
事実、ジェーンの体は高揚し赤く熱っていた。
それでも彼女は言った。このセックスが無意味であることを。
「そうかよ」
ムッと来た男は下腹部を動かし始めた。
「あっ。んっ、んー、ん。あん」
いくら強がっても、所詮は犯されている女でしか無い。
傭兵は思うまま、まだ若い女の体を味わった。
女の体も敏感に反応した。
突かれれば喘ぎ声を出し、体はバネのように跳び跳ねた。
「こ、こいつ」
だが、完全に女を制覇しているはずの傭兵の顔に焦りが浮かぶ。
体の反応とは裏腹にジェーンの表情は冷めきっていたからだ。
傭兵は再びご自慢のものを深く打ち込む。
「くっ! うぅぅ……ああ――ッ!」
グチュと言う淫音とともにジェーンの下半身は一瞬宙を浮き、そして断末魔のような呻き声を出した。
「いつまで強情を張っているだ」
数多くの女を抱いてきた傭兵にはわかっていた。
これはただの生理現象でしかないことを。
いくら体が濡れようがそこに心はない。
「はぁはぁ、……だ、から……」
息も絶え絶えにジェーンが口を開いた。
「言ってるんだ?」
傭兵が耳を近づける。
「こんなもんでシュリラの女をものにしようなんておこがましいも程があるわ。早く離れなさいよ。この豚!」
本人もびっくりするような汚い言葉がジェーンの口から吐き出される。
それはまるで望まぬ男に抱かれる日々を送っている女たちの心の声を代弁するような魂のこもった言葉だった。
「ははっ。面白いこと言うな。ならそんな豚に抱かれるお前はなんなんだ」
傭兵の腰の動きが激しくなる。
女に自分の立場をわからせようとしているのは明らかだった。
人形のように揺らされながらジェーンもこのくだらない性行為がそろそろ終わることを悟った。
普通なら外に出してと頼むタイミングだったが、彼女は口には出さなかった。
なぜなら、女の義務を振りかざす男は必ず中で出したからだ。
それは男たちが中で出すようにと指導されていることを意味している。
なら言う必要がない。無駄なことをプライドを捨ててまで頼むのはよそうと思った
「お、おおお」
傭兵が唸り声を上げた。
ジェーンは来たるべき瞬間にそなえて拳をぎゅっと握る。
体の奥で肉の棒が膨れ、熱い大量の精液が子宮口まで一気に満たす。
「ああ……あぁぁ」
中出しの感触にジェーンの体はピクピクと反応し酔いしれた。
しかし体とは裏腹にジェーンの心は冷めきってきた。
寒い。体に染み渡る熱い精液の感触を否定するかのように彼女の意識は深い暗闇に落ちていった。
「よかったぜ。お前も満足しただろ」
出すものを出してスッキリした傭兵が耳そばで囁く。
「……」
しかし返事は返ってこない。
このセックスは法的には何も問題がない行為でしかなかったが最後まで2人が心を通わすことはなかった。
「まったくこの女は……」
傭兵は自分のもの引き抜き、机の上を置いてあったケータイを手に取る。
そして情事のあとが残るジェーンの裸体を撮った。
「あ……」
疑似シャッター音に反応しジェーンの肩が震える。
体を隠そうとするが上手く動かないようだ。
その間も一目でセックス直後とわかる赤い頬や男のよだれが残る乳房を中心にシャッター音が鳴り響く。
これまでの男も必ず性行為中や事後の写真を撮っていた。
つまりこの行為も占領国の指示によるもの。
こんなみっともない姿の写真を集めて国は何をやりたいのか。
彼女には予想もつかなかった
傭兵は続いてジェーンの両足を開かせて女のものを指で開く。
すると膣口から男の白い精液がドロリと流れ出した。
再びシャッター音。
乱暴な性行為であったことを証明するかのように中は赤く腫れ上がっていた。
「まぁこんなもんか」
男はベッドから下りて一人で帰り支度を始めた。
女を犯す時間は短く。終わったら素早く撤収。
いかにも傭兵らしい身勝手な行為だった。
男から開放されたジェーンはベッドに顔を伏せボソリとつぶやいた。
「早く出ていって……」
もう顔も見たくない。それが彼女の本心だった。
「まったく。お前もこの国の女ならもっと素直にならんとこれから大変だぞ」
忠告なのか嫌味なのか。
傭兵は意味深な言葉を残して部屋から出ていった。
男が去ってから五分後。
全裸のまま動かなかったジェーンがようやく起き上がる。
「いたっ」
体中のあちこちが痛んだ。
いつされたのかキスマークや噛み跡があちらこちらに見られた
痛みに耐えながら立ち上がるとドロリとした液体が太ももに流れ出す。
「はは」
どんどん流れていく白い精液を見ながら彼女が笑う。
それは絶望を覆い隠すような乾いた笑いだった。
一時間後。
ジェーンは冷静さを装いながら帰宅の戸に付いた。
自分は家族を守るため、女の義務を果たしてきただけ。
決して家族を裏切っているわけではない
そう思い込もうとしたが、罪悪感が消えることはなかった。
玄関前に付くと隣の家のフロラが話しかけているが
「あ、ようやく帰ってきた。ちょっと聞いてよ。大ニュースよ……って」
ジェーンのそばに来るなり戸惑いの表情が現れる。
それはまるで性行為を終えた女が発する香りを嗅ぎとったような態度だった。
「いいのよ。それよりなに?」
ジェーンは軽く首を振り話題を変えようとした。
被害者同士がなぐさめあっても仕方がないと思ったからだ。
「今度、うちのカートが帰ってくるの!!」
フロラも詮索することはせず、あっさりと本題に入った。
「旦那さんが? 連絡付いたんだ。おめでとう」
「そうなのよ。もう嬉しくて嬉しくて」
「旦那さんカッコイイから当然よね。もうこの幸せ者ー」
2人はいかにもくだらないノロケ話のように盛り上がる。
朝とは違い監視の目はなさそうだが、それでも油断は出来なかった。
「今度、皆でパーティーやりません? フレンダも呼んで派手にやりましょうよ」
「いいわね。フレンダちゃんと合うのも久しぶりだし」
フロラの家は5人家族で子供は三人いた。
うち2人はまだ学生だが長女のフレンダは高校卒業後に独立。
今は社会人1年生として首都でマスコミ関係の仕事をしながら暮らしているという。
そんなフレンダをわざわざ呼ぶ。ジェーンはフロラの真意を正確に読み取った。
「じゃそういうことで。細かな話はまた後日でも」
「ええ、また明日ね」
外で長く話すのも危険だ。
会話を終えたジェーンは別れを告げ、自分の家に戻る。
一寸の望みが見えてきたと思った。
フロラの旦那さんのカートは戦場を渡り歩いている傭兵だったからだ。
もちろん旦那が戦争して占領国に勝つなんて思わないが、子供たちを国外に逃がすことぐらいは出来るかも知れない。
少しだけ希望を持ちながらリビングに入る。
すると娘がいた。今日は早めに帰ってきたようだ
娘は明るい笑顔で「おかえり」と言った。
「え?」
ジェーンは戸惑った。
その笑顔とは裏腹に娘の目は赤く明らかに先ほどまで泣いていたのが伺えたからだ。
『何かあったの』と聞こうとした。だが寸前で思いとどまる。
朝はきちんとしていた娘の髪は乱れており、セーラー服のボタンも全部止まっていない。首筋にキスマークらしき跡までいくつかある
娘の身になにかがあったのは明らかだった。
そして、娘から見れば母が今日何をやってきたのかモロわかりだっただろう。
「ただいま」
あえてジェーンは笑顔で答えた。
あの法律が施行されている限り、この国の子供たちに幸せな未来はない。
誰もが平等に望まぬ男に体を開かされ、その身に汚れた精液を注がれる。
母は涙目ながら必死に耐えている娘をそっと抱きしめた。
「私、負けないから」
娘が震えた声で言った。
そう。この国の女達はこんなことでは決してくじけない。
理不尽なルールを引かれても私たちは伝統ある国の民なのだ
どんなに体を汚されても、心は汚させない。
必ず名誉を取り戻す日が来る。
その日が来ることを信じて女たちは今日も与えられた女の義務をこなし続ける。
一部 終わり