監視社会で生きる人々 05


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 時は逮捕直前に戻る。
 警察が古木家に突入すると監視していた人々も同時に大混乱に陥っていた。

「なんだ。あいつら。どこの部署だ」

 ボスが大声を出すと部下が急いでキーボードを叩く

「えっと。D地区の署のようです。5分前に逮捕状が出ています」

「早く止めさせろ。……ってもう連行しているじゃないか。あーもう何もかもメチャクチャだ」

 パトカーがサイレンを鳴らしながら去っていく。
 ボスが立てた作戦である娘に逮捕の危機が迫っていることを匂わし父に自首を促す計画は完全に破綻した。
 娘を逮捕するならこんなまどろっこしいことはしない。
 娘を持つ父親としてなんとか子供を助けてやりたいと思って考えた作戦だったのに全てが無駄になった。

「これからどうします」
 部下が不安そうに言う。素早く方針を決めなくてはならない。

「父親がどう出るか見よう。早く自首すれば間に合うかもしれない」
 逮捕後の写真は数時間で公開される。その前に自首してくればどんな手を使っても公開を阻止するつもりだった。

 数時間後 
 日が落ちあたりが暗くなってきた。
 ボスが部屋の電灯を付けるとパソコンの前に座る部下が大声を出す。

「出ました」
 ボスはため息を付きながらディスプレイを覗き込む。
 そこには項垂れながら連行される手錠腰縄姿の画像と全裸のまま立たされている絵玲奈の姿

「あんなに必死にカメラを避けて脱いでいたのにな。馬鹿だよお前の父親は。本当に……」
 今頃はクラスメイトが。いや全国の高校生がこれを見て抜いているだろうと思うと冷静でいられない。
 父親は娘を見殺しにした。信じられない思うと同時に怒りがこみ上げてきた。

「まともに見たのは初めてですけど綺麗ですよね。この子の裸」
「ああ、」

 基本的に犯罪者は自堕落な生活を送っている人が多く裸も見苦しい。  しかしこれは違った。
 肌の色は健康的で乳首も綺麗なピンク色だ。薬もタバコもアルコールも無縁なのがわかる
 カメラの前で必死に耐えているような小さな乳房もまるで私は無実と語っているようだ。
 実際に見るものが見ればわかるであろう。この子が犯罪なんて犯すような子でないことが。

「父親が帰ってきました!!」
 監視カメラに父親が映ると緊張が走った。
 父親は家の中に入り娘がいないことを確認するとすぐに家を出た

「え?」
「なんだと」

 監視者は一斉に驚く。父親は隠しカメラに指を差し、こちらに向かって一直線で走ってくる

「ど、どうしましよう」
 銃を取り出す部下。だがボスはそれを制した。

「出迎えてやれ。殺し合いに来るわけじゃないだろう」
 そう。復讐ならこんなところにはこない。
 まっすぐ警察署に行くはずだ。

 五分後。ドアを足で叩き開ける音がし娘の父親が部屋に入ってきた。
 ボスが直接彼を見たのは初めてだが予想よりもガタイもよく動きにも無駄がない。
 こいつが私立探偵だと自称しているのだから笑わせると思った。
 どうみても堅気じゃない。
 

「取り引きがしたい。ここにお前たちが欲しがっていたリストがある。これを渡すから娘を返してくれ」
 
 父親は真っ直ぐな目をし封筒を取り出す。
 何のリストかは聞くまでもなかった

「なぜ俺達に言う」
 取り引きと言うのはお互いの信頼関係が大前提だ。
 ボスは警戒を解かない。それどころか挑発するかのように部下をパソコンの前から移動させ、ディスプレイに映っていたものを見せた。


「頼む理由か。お前が娘を守ろうとしてくれたから。それだけでは不満か」
 娘の哀れな逮捕後の全裸写真を見ても父親は眉一つ動かさなかった。
 そこには起きてしまったことを悔いるよりも娘も早く助けることを優先させる父の強い思いを感じられた。

 ボスが書類を受け取る。
「約束しよう。明日には釈放させる」

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