プロローグ
少年院は刑罰の施設ではない。正しい精神を養い勉強をする場。
だから一時的に入ることになっても勉学に支障はない。冤罪だと主張し続けることは少年院に入ってからも出来る。
そう説明された。
確かにここは学校と大差なかった。男女は分かれているとは言え一緒に授業を受けることも少なくない。今のように女子しかいない数学の授業だってある。一見すると本当に普通の学校だ。
だが、よく見ればやはり違う。
例えばここでは名を呼ばれない。146番という番号で呼ばれる。
違いは他にもある。この体操服に付けられた黄色の2級バッチ。
ここが否応なしに別世界であることを認識させられた。
この少年院は3級、2級、1級と分かれていた。
3級は入って間もない生徒が多くルール厳守や勉学を教えられる。
ここまで怠けていた子も多く、一番厳しい指導があるのも3級だ。
2級は問題も起こさないが反抗心がまだある生徒。
そして最後の1級はいつ社会に出ても良いと評価された生徒。といえば聞こえはいいが、その正体は何でも服従する洗脳が終わった状態にしか見えない。
「お前ら弛んでいるぞ。気合いを入れろ。上半身裸になれ」
中年のおっさん教師が数学の授業だと言うのに乳房を晒せと大声で言った。
意味がわからないし、こんなところで脱ぎたくもない。
その思いは人間として当然の感情にも関わらず、1級が座る右側の5人の女子たちは制服の上着はおろかブラすら既に外そうしている。
一番乗りはこのクラス最年少である16歳の女子だった
年齢に似合わない大きな2つの固まりが顕になると教室に緊張感が走った。あまりに早い。早すぎる。躊躇いと言った感情を一切なくさなければここまで思い切り良くは脱げない。
支配者の言うことは、なにも疑問を持たずに胸すら晒す。まさに実行するだけのロボット。
少し間をおいて2級グループも気持ちの整理が出来たのか脱ぎ始める。
146番も釣られるように上着を脱ぎ、Cカップのブラを外した。
はっきり言って何一つ納得していないが、反抗して3級に戻るのだけは避けなくてはならなかった。
そう。3級にいた1週間はまさに地獄だった。あんな躾はもう二度と味わいたくない。
「そこまで。脱いでいないやつは体育館に移動しろ。先生にみっちり鍛えてもらえ」
3級の半数である5人が死んだ目をしながら教室から出ていく。誰もが同情の視線を向けた。
今夜は恥ずかしさと腫れ上がった尻の痛みで寝ることも出来ないのはわかりきっていたからだ
「授業を始める。146番。この答えを黒板に書いてみろ」
「はい」
さっそく当てられた。最年長かつ反省の色が見えない生意気な生徒として目を付けられてるのは自覚していたが、ここまで露骨な嫌がらせが続くと笑うしかない。
そもそも反省などするはずがない。こんなところで躾けられる理由なんて本当は無いのだから。
「早くしろ!!」
罵声が飛んできた。ここの生活もはや半年になる。
お互いに手の内はわかっていた。
146番はルールの範囲内で相手を苛つかせる行動をあえて選び、教師は146番の嫌がることをあえてやらせる。
146番は痛みには強いほうであり言葉攻めも流せるだけの精神力がある。
普通ならそれで教師の打つ手はなくなるがここは少年院。
暴力が駄目なら性的嫌がらせだとばかりに様々な辱めを与えられた。
146番自身は乳房の大きさにコンプレックスがあるというわけでもなかったが、ビキニなんて着たことはなかったしミニスカートですら避けてきた経緯があるのでその嫌がらせは効果的だった
今もむき出しなっている乳房を隠したい気持ちが抑えきれない。
それでもなんとか立ち上がり黒板の前に向かった。
教師は当たり前のように間近に来た乳房に視線を向ける。
いったい、この教師はなんの権利があって乙女の秘めた乳房を見ているのか。
黒板に答えを書き始めると疑似シャッター音がした
視線を向けると教師がスマホを持っている。
顔が一瞬で火照るのを感じた。
ここに入った時に生徒の評価のため撮影することがある説明はされていたが、まさかこんな姿を撮られまくるのは予想だにしなかった。
写真は決められた用途にしか使われないとも言ってたが、今となってはそれも信じられない。
「終わりました」
完璧な答えを書き自分の席に戻ろうとすると否応なしにクラスメートたちの乳房が目に飛び込む。
ここは16歳から19歳までが集まる教室。
そんな敏感な年齢である30人の女子たちが大小様々な大きさの乳房をさらけ出して授業を受けている。
普通の少年院ではありえない。あまりに異常な光景だった。