「おーい。兄貴。2階にいるの? 帰ってきてるなら見て欲しいものがあるんだけど」
自室で静かに漫画を読んていると、妹のやかましい声が扉の向こうから聞こえた。
どたどたどた。
その声と同時に急いで階段を駆け上がる音
年頃の女の子とは思えないガサツな行動に俺は思わずため息を付く。
妹もそろそろ高校生だ
普通このぐらいの年齢になれば、子供っぽい雰囲気は無くなり、兄との関係も疎遠になりがちだが、うちの妹は昔となにも変わらない。
相変わらず兄貴、兄貴だ。
むろん、それはそれでいいものなんだが、こう毎日では少しウンザリするのもまた事実であった。
がたん
乱暴に扉が開かれる。
当然ノックはない。あのなぁ。兄とはいえ男の部屋を開ける時はノックぐらいするべきだ。
お楽しみ中だったらどうするんだよ。
「ほらほら、新しい服を買ったんだ。いいでしょうー」
後ろの方で妹が楽しそうに喋りまくる。
俺はまだ一言も喋っていない。それどころか妹の顔すら見ていない。
妹が一方的に喋っているだけだ。
軽く溜息を付きながら俺は振り返った。
「だから、服のことはわからんと言っただろ。いい悪いの判断は友人にも……って」
妹の姿を見た俺は何とも言えない違和感を感じた。
なんだろう。妹は少しおしゃれな服を着ているだけだというのに妙に色っぽく思えた。
別に露出度が高いわけでもないのに。これはいったい。
「るん♪」
妹は上機嫌だ。なぜか恥ずかしそうに顔を赤らめているが、表情そのものは笑みを浮かべている。
その笑みは小悪魔的というか、いたずら好きだった小さい頃の妹を思い出すそんな表情だった。
改めて俺は妹の全身を見た。
ペイズリー柄と呼ばれるノースリーブの上着。
軽く編み込みか入った薄地の黒スカート。
新しもの大好きな妹が買うんだから、どこかの有名な人による最新デザインなんだろう。
別に変ではない。むしろ妹に似合っている。
でも、なにかかおかしい。露出は高くないのにエロい。どこか男の欲望を刺激するような感じがした
「へへへ」
妹は変な笑い顔をする
そして片足を軸にして体をくるっと回す。
薄地のスカートがふわっとなびく。
スカートは少し動いただけで、もちろんめくれたりはしない
だが、俺の目は妹の太股を捉えていた。
そして決して晒してはいけないはずの真っ白なパンツもはっきりと見えた。
白のパンツは妹の下半身にぴったりと食い込み、その健康的な足の付け根やお尻の形を浮き出させていた。
俺はようやくこの衣服の秘密を理解した。
妹が穿いているスカートは超薄地。
光の加減次第で容易にその中が透ける構造になっていたのだ。
「げほげほ。パンツが丸見えじゃないか。何を考えているんだよ」
突然、妹のモロパン姿を見せられ、俺は思わず噎せ返る。
当たり前だ。妹のパンツ一枚な下半身姿を見たのはいつ以来だ。
家族とはいえ、そんなもんをいきなり見せられて驚かないはずがない
本当になにを考えているんだ。この妹は。
「驚いた? どう色っぽい?」
流石に恥ずかしいのか妹は照れたように頬を掻きながら言う。
「色っぽいと言うか見ているほうが恥ずかしいわ」
俺は首を振りながら妹の姿を眺める
なるほど。ただ立っているだけでも、僅かに下着が見える構造なんだ
そりゃ色っぽく見えるはずだよ。
パンツが見えているという認識がなくても、視界の何処かではパンツを捉えているんだから。
まさに男の本能をくすぐる構造だ。
「うわぁ、なにか変な気分。下着を見られて恥ずかしいのにどこか楽しい」
俺の反応を気にせず妹は上機嫌で体をクルクル動かす。
そのたびに透けて見える妹の健康的な下半身。
俺は見てはいけないと思いつつも、妹のむちっとした太股に生々しく食い込む白いパンツから目が離せなかった。
「お前さ。まさかその格好で外に行くつもりじゃないだろうな」
俺はいくら見ても飽きない妹のパンツ姿を見ながら話す。
確かにこの服はいい。俺的な評価は満点だ。
女性の体。特に足の綺麗さを最大限に引き出している。
パンツの色指定があったのかはしらないが色が白というのも清潔さがあっていい。
今の妹を見て可愛いと思わない男はいないだろう
だがしかし、こんな姿の妹を赤の他人が見ていいものなんだろうか。
俺に女性のオシャレはわからない。
パンツを晒しながら歩くというのも女性にとってはただのファッションの一つなのかもしれない。
事実この服だって有名なデザイナーが女性のために作った服なんだし。
わからない。考えれば考えるほどよく分からなくなってきた。
「外出ね~。へへ。どうしようかな。まぁせっかく買ったのだしもう少し考えてみるよ。じゃね」
妹は相変わらず、いたずらっ子のような顔をしたと思ったらクルリと後ろを向き、足早に部屋から出ていった。
「はぁ、まったくなにを考えているのやら。今時の女の子はわからん」
俺は愚痴りながらも顔がニヤついているのを自覚していた。
何年ぶりかに見た妹のパンツ姿。
いつも振り回されてばかりの困った妹には違いないが、今回のようなご褒美があるならそれも悪くない。
「あの格好で町中を歩く……か。どうなることやら」
そんなことを呟きながら俺は先ほど中断した漫画の続きを読み始めた。
終わり