逮捕された姉 01話

プロローグ。終わりの始まり

 早朝5時。
 とある住宅街にある民家に数台のパトカーが止まった。
 パトカーの赤い光が周りを照らす。
 弟はその光を見て何事かと思いベットから飛び降りる。
 そして窓を開け、外の様子を見た。

「これはいったい」
 自宅の玄関前に立つ5人の警察官の姿。
 弟はその姿を見て何とも言えない寒気を感じた。

数分後

「すぐ帰ってくるから心配するな」
 姉はまるで今から大学へ行くみたいな服装し、精一杯の明るい笑顔を弟に見せた
 その様子を弟は泣きそうな顔をし見守る。
 確かに服装はいつもと同じ。
 笑顔も明るい姉らしい優しさを感じさせる表情だった。
 だが、そんな姉の手に付けられた黒い手錠。
 まるで脅迫犯の護送のように付けられた腰縄。
 その縄を犬の散歩ように持つ警官。
 あまりに似合わない姉の姿がそこにあった。

 姉を乗せたパトカーが動き出す。
 弟はみるみるうちに小さくなるパトカーの姿を、ただ黙って見送るしかなかった。